「さんかくの平屋」と呼ばれているHさん邸が建つのは住宅密集地にある多角形の敷地です。Hさんは「傾斜地や変形した土地など個性のあるものに惹かれる傾向がありました。普通の土地だとワクワクしなくて」と笑います。この土地の個性を輝かせるために配されたのが3つの庭。Hさん邸は宅地と道路に囲まれています。そのためプライバシーを守るのは重要課題。その一方で開放感も得るという真逆のことを、この庭が可能にしたのです。
建物がさんかくになったのは、この土地の形を有効に使うためでもありますが、暮らす上での視覚的な効果も狙っています。さんかくの一辺だけ長くし、その両 端に庭とエントランスという開口部を持ってくることで、実際の面積以上の広さを感じさせているのです。「決して大きな家ではなく、外側に大きな窓があるわ けでもないのになぜか開放的でゆとりがある」とHさんは実感しています。土地探しやプランの打合せを経て6年越しで完成したこのさんかくの家。変形土地、住宅密集地などの問題をクリアするための工夫が、遊びの効いたプランとなり、待った分だけ満足感も大きい家となりました。